管理人は現時点で会社の社宅に入居していますが、次の3月で社宅定年を迎えるため社宅を出なければなりません。ずいぶん前から物件探しは行っていてある程度めぼしはついてきたのですが、現在悩んでいるのが住宅ローンです。
どこからどのように借りるかのかが、大げさに言えばその後の人生に影響を与える可能性さえあります。かなり時間をかけて調査・検討をしたので、自分の頭の整理も含めて情報をまとめておきます。
重視する点
住宅ローンを選択する上で、個人的に重視したい点を列挙したのが以下となります。ちなみに管理人は現在45才なので、定年退職となる60才 = 15年後までの完済が理想、退職後再雇用が終了する65才 = 20年後までの完済が絶対条件と考えています。
- 総支払金額が少ないこと
- 団信付帯のがん保障が充実していること
- 繰り上げ返済手数料が無料であること
- 住宅ローンを組むことによる副次的なメリットがあること
それぞれについて簡単にまとめておきます。
総支払金額が少ないこと
これは当然といえば当然ですが、最終的に支払う金額が相対的に少ないことが絶対条件です。管理人は今後金利が急激に上昇することはないと思っているので、全期間固定は考えていません。現在高校1年生の長男と小学校5年生長女の学費負担は、順当にいけば7年後には長男分が、12年後には長女分がなくなるはずなので、固定するにしても当初10年だと思っています。
また、総支払額を減らすという観点からは、元金均等返済が選択できるのが望ましいと思っています。元金均等返済にすると当初負担が相対的に重くなりますが、元利均等返済よりも総支払金額は確実に減らせるからです。
団信付帯のがん保障が充実していること
フラットを除く一般的な住宅ローンに自動付帯する団信は、基本的に本人が死亡、もしくはかなり重篤な障害を持った場合にのみ以降の支払いが免除される = 残金が0になりますが、逆に言えばそれ以外の保証は一切ありません。これは考え方だと思いますが、管理人は三大疾病(がん、脳卒中、心筋梗塞)の保証はつけようと思っています(親族で罹患した人をみているので)。特にがんについては、銀行によって様々な条件が異なるので、そこは特に注意を払いたいと思っています。
ちなみに、さらに厚い補償として8大疾病対応を謳う団信もありますが、その大部分は生活習慣病です。管理人は自身が生活習慣病になるリスクは少ないと思っているので(タバコは吸わない、酒は飲まない、毎日4kmは歩いている)、金利を上乗せしてまでその保証が欲しいとは思っていません。
繰り上げ返済手数料が無料であること
基本的に有償の銀行、一定金額以上を一括で返済すれば無料になる銀行など、いくつか種類はあると思いますが、思い立ったら即実行できることが大事だと思うので、金額によらず無料の銀行を選択したいと思っています。
住宅ローンを組むことによる副次的なメリットがあること
住宅ローンを組むということはその銀行と数十年お付き合いしてゆくことになります。場合によっては新たに口座を開き、さらにそこを給与指定口座とすることまであり得るため、その銀行を利用してゆくメリットが欲しいところです。できれば専用に新たな講座は開きたくないので、すでに口座を持っている銀行(管理人の場合楽天銀行、ソニー銀行、三井住友銀行、みずほ銀行)は、少しだけポイントが高くなるということになります。
ちなみに、イオン銀行で住宅ローンを借りると、イオンでのお買い物が5年間5%offになるという特典がありますが、管理人の生活圏内にイオンがないため、今回の候補からは除外しています(特典を活用できないのが悔しいので)。
候補とした銀行の金利比較(2017年6月時点)
最初に変動金利と固定金利、固定期間終了後の金利を確認します。固定金利については争いがもっとも激しい固定10年を考えます。青文字は個人的にいいと思ったところ、赤文字は逆に良くないと思ったところです。前提条件は以下の通りです。
- 各銀行の変動 / 固定10年(通期引き下げ) / 固定10年(当初引き下げ)を比較
- 優遇率は最大の優遇率が適用されたものと仮定
- 楽天銀行の固定10年は1種類のみ
* 期間後優遇率の情報がないが、変動 / 固定の当初優遇率が同一に設定されているため、通期引き下げ相当と考えられる - ソニー銀行の固定10年は1種類のみ
* 固定期間終了後の優遇率が変動より不利な設定なので、当初引き下げ相当と考えられる - みずほ銀行は固定10年以下は通期引き下げのみ(ちなみに、固定11年以上は全期間固定の設定のみ)
銀行名 | プラン | 適用金利 | 基準金利 | 優遇率 | 期間後優遇率 | 期間後適用金利 |
楽天銀行 | 変動金利 | 0.507% | 1.157% | 0.65% | – | – |
変動金利(固定10年) | 1.091% | 1.741% | 0.65% | 0.65%? | 0.507%? | |
ソニー銀行 | 変動セレクト住宅ローン | 0.449% | 1.849% | 1.4% | – | – |
住宅ローン(固定10年) | 0.861% | 1.911% | 1.05% | 1.05% | 0.799% | |
住信SBIネット銀行 ネット専用住宅ローン |
変動金利 | 0.444% | 2.775% | 2.331% | – | – |
通期引下げプラン(固定10年) | 1.06% | 2.36% | 1.3% | 1.55% | 1.225% | |
当初引下げプラン(固定10年) | 0.66% | 2.36% | 1.7% | 0.7% | 1.66% | |
じぶん銀行 | 変動金利 | 0.497% | 2.341% | 1.844% | – | – |
全期間引下げプラン | 1.56% | 2.56% | 1% | 1% | 1.341% | |
当初期間引下げプラン | 0.58% | 2.56% | 1.98% | 0.8% | 1.541% | |
みずほ銀行 ネット住宅ローン |
全期間重視プラン(変動) | 0.6% | 2.475% | 1.875% | – | – |
全期間重視プラン(固定10年) | 0.825% | 2.7% | 1.875% | 1.875% | 0.6% | |
三井住友銀行 | 最後までずーっと引き下げプラン (変動金利型) |
0.625% | 2.475% | 1.85% | – | – |
最後までずーっと引き下げプラン (固定金利特約型10年) |
1.4% | 3.25% | 1.85% | 1.85% | 0.625% | |
最初にぐぐっと引き下げプラン (固定金利特約型10年) |
1.05% | 3.25% | 2.2% | 1.4% | 1.075% | |
三菱東京UFJ銀行 | ずーっとうれしい金利コース (変動タイプ) |
0.625% | 2.475% | 1.85% | – | – |
ずーっとうれしい金利コース (固定10年) |
1.4% | 3.25% | 1.85% | 1.85% | 0.625% | |
ぐんとうれしい住宅ローン (固定10年) |
1.05% | 3.25% | 2.2% | 1.4% | 1.075% |
ネット銀行 vs. メガバンクの変動金利の差は意外と小さい
ざっと見ると、やはりネット銀行の変動金利の安さが目立ちます。0.5%前後での戦いが繰り広げられていますが、メガバンク系も0.6%前後と思ったよりも健闘しており、金利だけ見れば極端に大きな差はないという印象ですが、数字だけ見ればネット銀行が有利なのは確かです。
ここでは固定10年は通期引き下げと当初引き下げを比較しましたが、調べてわかったのがネット銀行とメガバンクの違いです。額面通りに取ると通期引き下げは固定終了後も優遇率は同じ、当初引き下げは固定期間のみ優遇率が高く、固定期間終了後は優遇率が(通期引き下げに比べると)低くなるのかと思いきや、実はそうではありませんでした。
ネット銀行の通期引き下げ ≠ メガバンクの通期引き下げ
メガバンクの場合、固定期間終了後の優遇率 = 変動金利の優遇率となります。つまり、固定期間中も終了後も優遇率自体は変わらず適用対象の基準金利が異なる、という設計になっています。このため、固定期間完了後に変動金利を選択した場合、借り入れ当初から変動金利で借りていた人と同じ利率が適用されます。明記はされていませんでしたが、楽天銀行も同じ設計のように見受けられました。
しかし、楽天銀行以外のネット銀行の場合、通期引き下げの優遇率 ≠ 変動金利の優遇率になります。つまり、最初から変動金利の人と通期引き下げの固定xx年を選択した人とでは、固定期間終了後の優遇率は後者が不利になるような設計になっています。住信SBIネット銀行の場合は0.781%(2.331% – 1.55%)、じぶん銀行の場合は0.844%(1.844% – 1%)と、固定期間終了前後で大きな差が出るような設計になっています。もしこれらのプランを利用するのであれば、当初固定期間終了後の借入期間は最小限に留めるべきでしょう。
当初引き下げプランは固定期間終了後に金利が一気に上がる
当初引き下げについても、メガバンクとネット銀行で大きな違いがあります。通期引き下げと比較すると、固定期間中の金利は若干低く、固定期間終了後の金利は若干高くなるのがメガバンクで、三井住友銀行と三菱東京UFJ銀行は固定期間前後の金利差が0.025%(1.075% – 1.05%)になります(10年後の基準金利が現在と同じと仮定した場合)が、これは納得ができる水準だと個人的に感じます。
しかし、来店銀行以外のネット銀行では、固定期間前後の差がメガバンクに比べるとかなり大きくなります。ソニー銀行は両者の差が0.35%(1.4% – 1.05%)と比較的良心的ですが、じぶん銀行ではその差が0.961%(1.541% – 0.58%)、住信SBIネット銀行では1%(1.66% – 0.66%)となっています。倍率で考えると3倍弱も差があり、ここまで前後の金利差が大きいと、固定期間中に繰り上げ返済で返済を完了するしかないのではないかとさえ思えます。
結局どれが自分に合っている?
実は真剣に検討を開始する前は、なんとなく住信SBIネット銀行かじぶん銀行の当初固定がいいのかなぁと思っていました。しかし実際に調べてみると、前述の通り住信SBIネット銀行とじぶん銀行の固定系のプランは、通期 / 当初引き下げを問わず固定期間中に完済しないとその後大きく金利が上昇する設計であることがよくわかりました。管理人は15~20年で完済する計画なので、固定10年で借りたとして固定期間完了後の期間はそれほど長くはありませんが、それでもやはり気にはなります。
よくよく考えてみると、当初固定型は固定期間が完了すればその後は自動的に変動金利に移行します。もちろんその時点で再度固定金利を選択することも可能ですが、それは最初から変動金利で借りている人も同じです(どの銀行も基本的に変動 => 固定の変更は任意のタイミングで無料でできる)。となると、当初10年を固定することにどこまで価値を見出せるかですが、個人的にはこの10年で固定金利が有利になるほどの金利の上昇があるとは考えていません。仮にそれほどの金利の上昇があったとしても、固定期間完了後に適用される変動金利は、最初から変動金利を選択していた人よりも不利な金利になるので(メガバンク or 楽天銀行の全期間引き下げプランを除く)、相当の上昇がないと固定が有利になることはないと思っています。
ということで、管理人は全期間変動金利を基本に考えることにしました。ずっと変動で行くのであれば、差は小さいとはいえ金利的にはネット銀行の方がメガバンク系よりも有利なのは明らかなので、基本的には前者で考えることになると思います。