よいデータセンターとは? Part1の続きです。
/.のいいところは、トピックに対してちゃんと批判的な意見も書き込まれて議論として成立している点にあります。それも、その方面の専門知識や実経験を持った技術者の応酬が繰り広げられるので、傍から見ているだけでも非常に参考になるのです。
ということで、今回は否定的な意見を採り上げてみました。
こんな書き込みがありました。
That’s interesting, but the OP really needs to know what is good or not. For example, you state “Raised Floor Height”. What is good? Newer datacenters don’t have raised floors because it is more energy efficient to have concrete floors. “Cooling Capacity” — what’s good and what is bad? How is this measured? Some datacenters may talk aobut how cool they keep the ambient air, but there isn’t much evidence that this actually provides a noticable difference to the lifetime or any other factor related to the equipment.
日本語にするとこんな感じです。
非常に興味深いね。でも、善し悪しを判断するために本当に知っておかなければならないのは、オペレーションなんじゃないかな。たとえば、”二重床の高さ”を挙げているけれども、どのような状態がいいのだろう?最近のデータセンターは、エネルギー効率の観点から二重床ではなくコンクリートの床を採用している。”空調能力”–これもどのような状態がいいのだろう?どのように計測するんだい?周囲の空気の温度をいかに低く維持しているかを力説するデータセンターもあるかもしれないけれども、それが設置機器の寿命やその他の要素に目に見える違いをもたらすという証拠は、実のところあんまり存在してない。
一理あるなぁ、というのが正直な感想です。
オペレーションが重要であるという点については異論はありません。
Part1でも書いたとおり、多少設備が古くてもよくメンテナンスされていれば問題ありませんし、逆に設備がよくてもメンテナンスされていなければお話になりません。
二重床の件に関しては、私は不勉強で知りませんでした。
ただ、二重床といっても結局二重床の床に当たるスラブはコンクリートになるので、二重床なしの方が断熱性能がいいのかどうかは個人的には懐疑的です。もちろん、室内の空気の循環を考えてそのように設計しているのであれば、二重床なしも十分ありだと思いますが。
空調能力は、個人的には重要だと思います。
どうやって計測するのか?という疑問を呈していますが、少なくとも設計段階では空調方式やラック配置などを基礎データとして気流のシュミレーションは行われます。各ラックに収容される機器の発熱量はラックへの給電能力に比例するので、適正に管理されていれば想定以上の熱量が出ることはないはずです。
#もちろん、全ラックが提供電源を使いきる形で埋まるという前提でシュミレーションは行いませんが…
また、特に室温に関するSLAを提供しているようなデータセンターであれば、サーバルーム内に計測センサーを設置して、閾値監視するのは当然です。もちろんホットスポット(局所的に温度が高くなっている場所、熱だまり)まではわからないでしょうが、これも一種の計測といえるでしょう。
もっとも、機器の寿命については確かにそうで、データセンターに保有するサーバの台数では世界でも指折りのGoogleが、ハードディスクについては温度は関係ないとのレポートを出しています。
Googleによると、ハードディスクは温度や使用頻度に関係なく故障する – GIGAZINE
しかし、この中でも
ただし、ハードディスクの温度が50度を超えるような環境であれば、故障率は如実に上昇しています。これはハードディスクのメーカーも推奨していない温度なのでさすがに当然か。
とのことで、安易に”室温が高くてもいい”と結論付けることはできません。
また、寒すぎると動作に支障があるとの話もあるので、”室温が低ければいい”ということにもなりません。
となると、やはり一定の範囲で室温を維持するというSLAを提供しているデータセンターがいい、という結論になるんじゃないかなぁと思います。