Slashdot Japanで、”サハラ砂漠でも展開可能な冷却の必要がないデータセンターは実現するか?“という話題が取り上げられていました。いろいろな方の意見が書き込まれていますが、なかなか興味深い話題です。ちょっとまじめに考えてみました。
砂漠にDCを建造するという発想自体は、アリだと思います。土地代がDCのコストに大きく跳ね返る以上、おそらくはタダ同然の砂漠に建造するということは、それだけで価格的に大きなメリットが出るでしょう。寒暖差が激しいという指摘はありましたが、現存する外気冷却のDCだって何らかのコントロールは行っているわけですし、そこはクリアできると思います。既存DCよりもサーバルームの設定温度を上げるという想定のようですし。
逆に問題になりそうなのは、防塵でしょうか。外気冷却をするにしても追加防塵対策は必須になるでしょうし、機器の搬入出時の対策もかなり大変そうです。建物の外側に置かれる設備の防塵対策も十分に考慮する必要があります。出入りする人間についている微細な埃の除去も必要になるでしょう。サーバ機器にとって埃は致命的なので、ここは気を使う必要があるでしょう。
また、水の確保も問題になるでしょう。サーバルームは冷えていればいいというものではなく、一定の湿気も必要です。通常のDCであれば40~60%程度のコントロールされていますが、サハラ砂漠ともなれば30%を超えることはほとんどないようなので、加湿機は必須になるでしょう。加湿するとなると相当量の水を常時確保できる状況を作る必要がありますが、砂漠で果たして確保できるのでしょうか?
あとは人員の確保でしょうか。場所を考えると、運用者を含めてDCに出入りする人員数は最小限に抑えなければなりませんから、不特定多数を相手にコロケーションサービスを提供するDCはあまりに非現実的でしょう。トラブル時に期待と思う客もいないでしょうし…となると、自社のホスティングサービスやクラウドサービスの提供プラットフォームを置くことになるでしょう。
MicrosoftのようにコンテナDCでそのようなプラットフォームを運用した経験を持っていれば、現地のエンジニアが担当する部分を最小化するノウハウを持っていそうです。現地は事前準備のサーバ機器だけを手順に従って入れ替えて、LANに接続して電源をつないだ後はすべて遠隔で構築作業を行うとか。
とは言え、中で生活が完結しない以上、人の出入りは必須になりますから、砂漠とはいっても通勤可能な場所に建設しないといけませんよね。たとえばエジプトのピラミッド周辺のように、砂漠とはいっても車での行き来が可能な地域が建設候補地になるのでしょうか?サハラ砂漠にそのような場所があるのかどうかわかりませんが…