このページを配信している自宅サーバの構成の遷移を、簡単に時系列でまとめてみました。
1. 独自ドメイン取得 / 自宅サーバ更改前
独自ドメインを取得するまで(2000年11月~2009年9月頃)は、基本的にこの構成でした。
OSは最後の時点のものが入っていますが、構築当時のOSは、自宅サーバがTurbo Linux 6.0 Workstation、日常利用PCがWindows 2000だったと思います。
ブロードバンドルータのポート転送機能を利用して、インターネット側からのHTTPとSMTPのアクセスのみを自宅サーバに転送し、それ以外はDMZ機能を利用してすべて日常利用PCに転送していました(当時UOやEverquestをやっていたので)。IIJ4Uのフレッツオプションを利用しており、動的IPアドレス + Dynamic DNSで運営していました。油断しているとIPが変わってアクセスできなくなってしまうことがよくありました。
2. 自宅サーバ環境の仮想化 / 自宅サーバ更改
長年自宅サーバを運用していると、自宅サーバのハード障害に出会うことが必ずあります。
その備えとしてはバックアップが最も有効なのは言うまでもありませんが、言うは易し行うは難しで、実際に取ろうとするとなかなか簡単ではありません。そこで、バックアップを簡単にするために、そして自宅サーバの公開時の手間を省くために、自宅サーバのOSをWindows Serverにして、サーバ環境のLinuxはVMWareの仮想マシン上に導入することとしました。
仮想化してから日常利用PCに仮想マシンのデータを移し、新しい自宅サーバを作ってOSとVMWareを入れてから、移動させた仮想マシンを元に戻しました。
3. 独自ドメイン取得
何となくではありますが、その気になったので独自ドメインをお名前.comで取得しました。
ドメイン名はGoogleのアカウントで利用しているstarplatinumの汎用jpドメインです。後でアクセスログを見てわかりましたが、以前の所有者は不特定多数にサーバスペースを貸していたようで、検索したら一貫性がないキーワードで色々と引っかかりました。
この時点で固定IPのISPへの移行も検討したのですが、VPSに関心があったのであえてVPSを選択してみました。興味はあっても予算はなかったので、最安値クラスのWebkeepersの月額1,500円程度のプランを契約して、そこでApacheとMySQLとを動かし、Wordpressを入れました。
4. 独自ドメインサーバの仮想化
利用したプランが一番安いプランだったということもあったのかもしれませんが、普通にWordpressを操作しただけでhttpdがリソース不足で落ちたり、yumがまともに動かなかったりということがあったため、やっぱり自宅サーバで運用することにしました。独自ドメインを自宅で運用するには固定IPが必須となるため、ISPの乗り換えもこの時点で決断したことになります。
www.bflets.dyndns.orgのバーチャルホストとしてstarplatinum.jpを構築するという選択肢もありましたが、そちらの環境が色々あってごちゃごちゃしていたので、もう一つ仮想マシンを作ってそこに新たにOSから入れて、きれいな環境で構築し、そこにコンテンツ(ほとんどありませんでしたが)を移行しました。
ちなみに、自宅サーバはVALORE ION 330-BDにメモリを4GB載せたマシンです。WindowsのタスクマネージャではCPUが4つ見えているので、それぞれの仮想マシンにCPU1つとメモリ1GB、HDD50GBを割り当てて、2つの仮想マシンを同時に動かしています。
自宅サーバにはWindows Server 2008R2の64bit版を入れ、ついでに日常利用PCにはWindows 7 Ultimate 64bitを導入しました。Windows 7はまだ発売前ですが(このエントリを書いているのは2009年9月末)、Technet経由で入手した正規版を入れてあります。
5. livedoorプロバイダと契約
最初に白状しますと、この構成は思い描いていた成功予想図で、実際は失敗しました。
詳細についてはこちらのエントリを参照して頂きたいのですが、簡単にいえば利用していたルータ(NetGenesis SuperOPT100)はPPPoEマルチセッションに対応していたものの、それぞれのセッションでサーバを立てることができなかったのです。
6. IPPと契約
livedoorプロバイダでの構築を諦め、固定IPアドレスを2個提供するという稀有なサービスを展開しているIPPと契約し、ようやく理想の最終形にたどりつくことができました。
メールアドレスはそのまま利用したいため、今のところIIJ4Uの契約は残してあります。Bフレッツ接続オプションを利用すればIPPとマルチセッションを張ることもできるのですが、デフォルトゲートウェイが片方のセッションになってしまうので、事実上利用する意味がありません。Bフレッツ接続オプションは解約することになるでしょう。
本当の最後は、www.bflets.dyndns.orgのコンテンツを取捨選択した上でstarplatinum.jpに移行して、前者を止めて後者に一本化することになると思います。そうなれば、livedoorプロバイダのような、もう少し安いISPを利用することができますからね。
7. GMOBB固定IP契約
IPPは非常にいいプロバイダだったのですが(回線も安定していましたし)、いかんせん月3,000円は少々高いと思い、2012年10月にGMOBBの固定IPサービスに乗り換えました。当然固定IPは一つに戻るわけですが、ここでようやくApacheのVirtual Host機能を利用して2つのドメインを1台のApacheで運用するようにしました。
GMOBBを選択した理由ですが、大きな要因は2つありました。1つ目は価格で、接続サービス(いわゆるISP料金)込みで固定IP1つが月額1,100円で利用できるのは、2014年10月現在でも破格ですし、当時は更にインパクトがあったと思います。おそらく、接続料込みの固定IP接続サービスとしては現時点で最安値でしょう(他サービスとの組み合わせによる割引であれば、ASAHIネットが更に安くなる場合がある)。
もう一つの理由が、GMOインターネット株を持っていれば株主優待でGMOBBの支払いに充当できるポイントが半年で5,000円分付与されるため、実質負担額が1カ月当たり300円 弱で済むということです。もちろんGMOインターネット株の値は動くので、結果的に高くつく可能性はありますが、もともとそれほど高い株ではないので(当時は5万円で株主優待がもらえた)、多少値が動くという前提があっても十分に魅力的だったのです。
ちなみに、”できました”と書いたのは、2013年6月分(2014年10月以降利用できるようになる)の権利確定を最後に、 GMOBBの支払いにポイントを充当できなくなってしまったからです。GMOインターネットの関連会社が提供する他のサービス(お名前.comとか)で引き続き利用できるものの、半年で5,000円 = 年間10,000円分を利用するのは少々大変です。
この環境で運用を開始して2年が経過しますが、基本的に特に大きな問題なく運用できています。もともと回線速度や品質をシビアに求めているわけではないので、格安で固定IPが利用できる回線として利用できています。
8. お名前.com VPS契約
2015年11月、お名前.comのVPSを契約して、本サイトのコンテンツをそこに移しました。もともとVPSに移そうと思っていて色々検討していて、さくらインターネットのVPSとお名前.comのVPSで迷っていたのですが、前述の株主優待を支払いに利用できるということで後者に決めました。
www.bflets.dyndns.orgはこのタイミングでVPSのWebサーバにバーチャルホストしようとも思ったのですが、Wordpress配信に最適化されたNginxだったので、面倒くさくてそのままにしてしまいました。結果的に、VPSでwww.starplatium.jpを、自宅サーバでwww.bflets.dyndns.orgを運用することになってしまいました。
9. GMOBB固定IP解約
東京電力のでんき家計簿を利用しはじめた所、自宅の電力使用量がかなり高いということに気が付きました。24時間365日電源がonになっている自宅サーバがその一員であることは間違いなかったので、一念発起してVPSにバーチャルホストを作成してそこにwww.bflets.dyndns.orgを移すことにしました。
これで自宅の回線が固定IPである必要がなくなったので、固定IP(月額1,100円)を解約して、動的IP(月額530円)に乗り換えました。これで自宅サーバはお役目御免となったのですが、CTF用にKali linuxを導入したら、なんとなくそれを外から接続できるようにしたくなり、自宅ルータのSSG5にdyndns.orgの自動更新機能を利用して接続できるようにしてしまいました。結果的に常時電源onに…
10. V6プラス契約
GMOとくとくBBは月額ワンコイン (500円)、しかもそこからGMOポイントも貯まるという激安サービスだったのですが、いつの頃からか速度が遅くなってゆき、Google Mapの画面移動に画像て転送が間に合わなくなった時点で家族からクレームが出てしまったので、より高速なサービスへの乗り換えを検討しました。
検討経緯は省略しますが、最終的にV6プラスを追加契約したことで一気に回線速度が改善されたため、それに落ち着くことになりました。V6プラスを追加契約しても月額980円なので、十分激安と言えるでしょう。
11. www.bflest.dyndns.org閉鎖
少なくとも2000年からずっと運用を続けていた www.bflest.dyndns.org ですが、dyndns.orgがOracleに買収されて利用料金が値上げされたため (年間$50)、更新を機に閉鎖することにしました。常時接続黎明期に自宅サーバを立てるための自分の経験に基づくノウハウを公開してしましたが、常時接続が当たり前になる一方で、サーバは手間がかかる自宅ではなくサービスを借りて公開するのが一般的になったため、役割は終えたと判断しました。
閉鎖に際して移行する価値があるコンテンツがあるかどうか確認してみましたが、歴史的価値以上の意味があると思えるコンテンツがなかったため、2020年7月にdyndns.orgのサービス満了とともに名前解決ができなくなり、静かに消えることになりました。気が向いたらこのドメインのサブドメインとして復活させるかもしれませんが、本当に気が向いたらですね。
atahualpa日本語化の事でちょいちょい覗かせていただいています。(便利に使わせてもらっています)
たまたまページ上に並んでいたメニューからこの記事を見つけました。
他人の自宅システム構成というのは何気に面白いものですねw
私もlinuxやネットワーク学習目的で、しばらく自宅にサーバーを置いて運用していましたが、
電気代の事もですが、火災のリスクなどを考え、結局レンタルサーバーで十分な結論に至りました。
livedoorプロバイダも、gigazine見て契約しました。
現在はハヤブサインターネットという格安固定IPを契約していますが、バックボーンの関係で我が家は中国扱いとなっていますw
こういう記事は主にご自分でのメモとして投稿されているのでしょうけれど、面白かったです。
GMOBBのくだりは目からウロコでした。今でもポイントを支払いに充てられていれば、今からでものっかりだいです・・・
では、お邪魔致しました。
返信が遅れて申し訳ございません、見て頂けるといいのですが…
自宅の構成は、そもそも自宅サーバを構築しようと考えている人を意識して公開していました。
まぁ最終的にVPSに行ってしまったので、今となっては意味はありませんが…
ちなみにGMOBBですが、今期の株主優待制度(2016年下期)でも、VPSの料金に充当することができます。
ちなみに私はVPS(KVM)のメモリ2GBタイプを利用しているので、通常であれば年間13,187円(税抜)になりますが、
株主優待制度で半年当たり5,000円の利用料が充当されるので、実質年間3,187円(税抜き)で利用できています。
2016年9月時点で、GMOインターネットの株価は13万円前後なので、長い目で見ればかなりお得だと思いますよ。
#今ならばVPSではなくKONOHAの1GBプランを契約すると思いますが(^^;