既報の通り、NTTレゾナントが2023/7/1付でNTTドコモと合併することを受け、同社が提供していたドコモ純正のMVNOであるところのOCNモバイルONEが廃止となり、同社が提供していた廉価なプランはirumoと名前を変えてドコモの料金プランとなることになりました。同時に、(5G)ギガホプレミアもeximoという料金プランに変わり、すでに大容量プランのahamoと併せてドコモの料金プランは3本の柱に再編成されることになります。
結論はタイトルに書いてしまっていますが、本稿では家族間通話を利用している & それほどデータ通信は行わない家族にとっての、最良の選択肢を探ってみたいと思います。
現在のプラン契約状況
まずは我が家 + αの現在の状況を簡単にまとめてみます。なぜその選択をしたのかの理由も簡単に書いておきます。タイトルの通り、軸がドコモなのは歴史的経緯 (自分がNTTグループの社員) + ファミリー割引 (家族間通話無料) であるところが大きく、今のところごっそりMNPする予定はありません。
自分 : Xiギガライト(1GB制限) + Y!mobile シンプルS
元々自宅外ではブラウジング程度しかしない (ように心掛けている) のに加え、リモートワークメインになったので、4Gギガライトで1GBの制限を設定しており、それを超えたらYmobileに切り替えて利用しています。
わざわざYmobleを契約しているのは、1GBを超えた時の予備という意味もありつつ、基本的に特典目的です (Yahooプレミアム無料、Enjoy Pack追加契約でYahooショッピング還元率 +5%など)。
妻 : Xiギガライト (1GB制限) + かけ放題オプション
妻は自分よりも外出の頻度はある一方で、外出先は主に日常的な買い物であり、屋外で大きなデータ通信は行いません。1GBを超えた場合は制限を3GBにして対応することもありますが、数ヶ月に一回程度です。
その一方で、遠方の実家をはじめとして複数の通話先に携帯から発信することが少なからずあるので、かけ放題オプションを追加しています。また、キャリアメールアドレスがメインアドレスなので、これを捨てるという選択肢はあり得ない状態です。
長男 : IIJmio 音声SIM (2GB)
かつては同じくギガライトを契約していたのですが、ある時にIIJmioで回線契約を条件に販売されていたスマホが必要になり、長男だけドコモの外に出てもらいました。長男は大学生ですが同じくオンライン授業が多くてあまり外に出ないこと、家族間を含めてそもそもほとんど通話しないことから、家族間通話の外に出しても問題ないだろうと判断しました。
それにしても2GBは少ないのでは…と思われる方もいるかもしれませんが、超深夜にスマホのテザリング経由でPCのゲームをしていたことがあり、意図的に最小容量のプランにしています (容量を使い切った後は遅すぎてゲームにならない)。長男はPC派で、屋外でのスマホ利用は自分と同じくブラウジング + α程度なので、これで容量超過したらそこは自己責任ということにしています。
長女 : Xiギガライト (3GB) + IIJmioデータSIM (可変) + 5分間かけ放題オプション
我が家でスマホを一番使いこなしているのは、現在高校生の長女でしょう。端末は今時の高校生らしくiPhoneで、家族間通話のためにメインSIMはギガライトですが、不足分をIIJmioのデータSIMで補っています (eSIMで概ね5GB、修学旅行などがあると10GB程度)。
ギガライトにはずっとはじめてスマホ割、おしゃべり割がついているので、これで最低容量が +2GB されて3GBに、5分間かけ放題オプションが実質無料 (相当額 = 770円が割引) となっています (料金という意味では、更にU22割もついています)。
現在の月額利用料金
もちろん月によっての変動はあるのですが、通話 / データ通信が想定内に収まったときの料金は概ね以下のとおりです (括弧内は適用されている割引)。留守番電話などの細かいオプションは無視しています。また、我が家の固定回線はドコモ光ですが、ギガライトの〜1GBにはドコモ光セット割が適用されないので、現時点では料金に対するインパクトはない状態です。
- 自分 : 2,178円 (ギガライト 〜1GB) + 2,728円 (Y!mobile S + Enjoyパック) = 4,906円
- (みんなドコモ割 : -1,100円, dカードお支払い割 : -187円, )
- 妻 : 1,628円 (ギガライト 〜1GB) + 1,100円 (かけ放題オプション) = 2,728円
- (ずっとはじめてスマホ割 : -1,100円, はじめてスマホ割 : -550円, おしゃべり割 : 770円, dカードお支払い割 : -187円)
- 長男 : 850円 (IIJmio 音声2GB)
- 長女 : 1,628円 (ギガライト 〜3GB) + 0円 (5分間通話無料オプション) + 990円 (IIJmio データ5GB) = 2,618円
- (ずっとはじめてスマホ割 : -1,100円, ドコモのロング学割 (U22特典) : -550円, おしゃべり割 : 770円, dカードお支払い割 : -187円)
Y!mobileを契約する時に長男をMNPさせようかとも思ったのですが、各種特典を受けるためにはPaypayアカウントとY!mobileアカウントとを外部連携させる必要があり、チャージなどの関係で紐付け先は自分のPaypayである必要があったため、割高ですが自分にしています。
計算してみると4人の合算で10,292円で、個人的にはかなりいい感じだと思っています。
irumoにプラン変更する価値はあるのか?
今回発表されたirumo, eximoへの移行をすることで、料金が低廉化されたり、同じ料金でよりいい使い勝手が得られる可能性はあるのでしょうか?
irumoはファミリー割引対象外
容易に想像できる通り、irumoはOCNモバイルONEのサービスを基本に設計されています。この結果として、irumoには家族間通話無料がありません。これはFAQで明言されています。
よくよく調べてみると、これはahamoと同じ扱いということのようです。執筆時点ではファミリー割引のページにirumoに関する記載はありませんが、おそらくは対象プランにirumoが追加され、赤字の制限が適用されるとの注意書きが入るものと思われます。
家族間通話無料がない時点で、irumoへのプラン変更の候補者は、ファミリー割引を利用していない長男と、相手を問わずに通話料固定のかけ放題オプションを契約している妻のみとなります。
長男について考えてみると、irumoの3GBプラン (1,970円) の全割引適用状態 (光セット割 -1,100円 + dカード割 187円) の880円は、IIJmioの2GBプランより30円安価で、かつ容量は1GB増えているので検討価値がありそうですが、前述の通り通信容量は意図的に最小限にしているので、ここはメリットとなりません。よって検討対象外となります。
妻についてですが、まずirumoはキャリアメールがオプションで月額330円かかります。また、よく見るとかけ放題オプションが280円も値上げ (1,700円→1,980円) されています。プラン本体は600円安価ですが (1,480円 vs. 880円)、オプションが610円値上げなので、実質ほぼ同額です。容量は1GB→3GBになるのはメリットですが、私 or 長女→妻の通話が家族間通話適用外になるデメリットが大きすぎるので、この程度ではプラン変更はできません。
上記より、irumoに移行するメリットがある人は我が家にはいないという結論になりました。
それではeximoはどうか?
eximoを一言で言えば、もともとドコモのプランとして提供されていたギガライトとギガホプレミアとをeximoというブランド名の元に再編成したプランと言えます。利用帯域別の料金とそれに対応する既存プランとを見てみると、それが読み取れます。
- eximo 〜1GB : 定価4,565円、最大割引時2,178円
- Xi / 5GギガライトStep1 (〜1GB) : 定価3,465円、最大割引時2,178円
- eximo 〜3GB : 定価5,665円、最大割引時3,278円
- Xi / 5GギガライトStep2 (〜3GB) : 定価4,565円、最大割引時2,728円
- 5Gギガホプレミア 〜3GB : 定価5,665円、最大割引時3,728円
- eximo 3GB〜 : 定価7,315円、最大割引時4,928円
- 5Gギガホプレミア〜60GB : 定価7,315円、最大割引時4,928円
見ての通り〜1GBはギガライト相当、3GB超は5Gギガホプレミア相当のプランとなっています (110円安いギガホプレミアもありますが、60GB超で速度制限が1Mbpsになる)。我が家で契約しているXiギガライト〜1GBは同料金なので、これならばどっちでも良さそうな気がするのですが、結論から書くとeximoにはおしゃべり割、初めてスマホ割などが適用されないので、当該割引適用者はeximoにプラン変更するべきではありません。
おしゃべり割が適用されなくなるのは致命的
おしゃべり割の説明ページには、以下の記述があります。読んで字の如く、”対象料金プランの契約がなくなると、おしゃべり割も消滅する” ということになります。
eximoのご注意事項をみると、以下の記述があります。これはめちゃめちゃ重要なことだから、もっと目立つように書いてもらいたい…
サービスを列挙した後に “等” とあるのが恐ろしいですが、少なくともeximoはおしゃべり割の対象外の料金プランであることが明言されています。つまり、既存サービスでおしゃべり割の適用を受けていた人は、eximonにプラン変更すると大幅に利用料金が上がることになります。ちなみにですが、その上にあるspモードの料金がプランに内包されている件については、Xi / 5Gギガライトや(5G)ギガホプレミアも同じ扱いなので変更なしということになります。
- Xi / 5Gギガライト or (5G)ギガホプレミアの場合
- 5分間通話無料オプション : 無料 (料金770円 – おしゃべり割770円)
- かけ放題オプション : 1,100円 (料金1,870円 – おしゃべり割770円)
- eximoの場合
- 5分間通話無料オプション : 880円 (割引なし)
- かけ放題オプション : 1,980円 (割引なし)
なお、例外的にハーティ割引と子育てサポート割引はeximoでも適用可能で、それらの割引の中で別途おしゃべり割相当の割引が入るようです (下の方に書いてある)。福祉的側面を持つこの2つである意味無理矢理おしゃべり割を存続させているのは、値上げをドコモ側がちゃんと認識している証左と言えるでしょう。
はじめてスマホ割廃止も痛すぎる
おしゃべり割に加え、妻に適用されている “はじめてスマホ割 (-550円)” が適用対象外になることも書かれています。これは先に書いた “最大割引時” の上限を超えて適用される割引の一つです。適用条件が厳しい (ざっくりいうとガラケーからスマホへの移行時限定) 分、対象プランを契約している限り続くというお宝プラン (後述) の一つですが、これもeximoに
おそらくですが、長女に適用されている “ドコモのロング学割 (U22特典, -550円)” も適用対象外になるものと思われます (前述の “等” に含まれると思っています)。おしゃべり割の差額と合算すると、eximoへのプラン変更で1,430円の値上げになってしまうので、論外でしょう。
結論 : 誰も移行はしない
最後に、各人の立場から考えて、移行しない理由を整理しておきます。冷静に積み上げてみるとまったく論外であることがよくわかります。括弧内は一応の移行先候補です。
- 自分 (→ eximo 〜1GB)
- 〜1GBプランへの移行で発生するデメリットはおそらくない。
- ただし積極的に動く理由もない。今後キャンペーンがあればそれに乗る。
- 妻 (→ eximo 〜1GB)
- かけ放題オプションが値上げになる (+110円)。
- おしゃべり割が消滅する (+770円)。
- はじめてのスマホ割が消滅する (+550円)。
- 長男 (→ irumo 0.5GB)
- 特殊事情があって意図的に通信容量は最小限 (2GB) に抑えている。
- 上記目的と現在の支払額を考えるとeximoは論外、irumo 0.5GBは検討の俎上には乗るが、さすがに0.5GB (最大3Mbps, 容量超過後128kbps) だと普段使いに影響がある。
- 長女 (→ eximo 〜3GB)
- 学割による+2GBが消滅するため、移行先が〜3GBプランになる (+1,100円)
- 5分間通話無料オプションが値上げになる (+110円)。
- おしゃべり割が消滅する (+770円)。
- (おそらく) ドコモのロング学割 (U22特典) が消滅する (+550円)。
デメリットがないのは自分だけなのですが、今後移行キャンペーンが出たときに考える…という程度でしょうか。