令和5年度は私立高等学校等授業料軽減助成金は受給できる

 確定申告の時期がやってきました。今年は対象期間内に管理職への昇進があり給与も上がったので、高校無償化のラインは年度当初から意識して色々準備をしてきました。その結果として、昨年度よりも余裕をもって需給のラインをクリアできる見込みとなりましたので、具体的な対策や数値を紹介したいと思います。

個人年金保険に加入

 前述の通り、令和4年の4月に管理職への登用があり、その結果として給与がそれなりにアップしました。これ自体はありがたいことではあるのですが、高校無償化の受給基準を満たすという一点においては逆風となります。もちろん登用の時点では年末時点での給与がどうなるかの予測は一切つかないのですが、昨年よりも厳しくなることは確実だったので、6月に一念発起して保険の窓口に赴き、兼ねてから考えていた個人年金への加入を行いました。

会社が斡旋する共済には該当商品なし

 最初に考えたのが、すでに加入している生命保険や医療保険の関連商品です。これらについては会社が斡旋する共済の条件が比較的いい (と思っている) ので長らくそちらに加入しているのですが、個人年金はその中にはラインナップされていませんでした。正確に言えば年金共済という商品があったのですが、ほけんの窓口で確認してもらったところ、区分的には一般生命保険でした (個人年金として控除を受けるには一定の要件を満たす必要があるが、それを満たしていなかった)。

 保険が果たす機能としては確かに個人年金 (在職中に積み立てて、退職後に年金という形で受け取る) そのものなのですが、今回の目的はあくまで個人年金枠での控除を受けることにあるため、こちらは早々に候補から外すこととしました。予定利率1.25% + 運用実績はとてもいいんですけれどもね….

ソニー銀行にも該当商品なし

 次に検討したのが、学資保険に加入しているソニー保険です。ソニー保険には個人年金保険という名前の商品があるのですが、学資保険の時にお付き合いがあった学資保険の担当者から紹介してもらったライフプランナーにオンラインで相談してみたところ、現在ラインナップされている商品の中に税制上個人年金保険に分類されているものはないとの回答がありました。確かによく見てみると、生命保険の一覧の中に個人年金保険が含まれていました。

ほけんの窓口でマニュライフを契約

 ググればいろいろな商品は出てくるのですが、最終的に数百万円を払うことになるので、ここは慎重に行くこととして、最寄りのほけんの窓口を訪れました。ちなみに行くのは初めてです。複数の商品の紹介を受けたのですが、最終的にマニュライフ生命のこだわり個人年金 (外貨建) に米ドル建てで加入することにしました

 詳細な説明は省きますが、まず円建ての個人年金は予定利率があまりにも低く、まったく加入する気になれなかったので除外、外貨建ての商品の中でも米ドル建て以外は為替手数料が高いので除外。特にマイナー通貨建ては急激な円安があれば一発大儲けとなる可能性はあるのですが、今回の主目的は節税であり、個人年金保険そのものでギャンブルをする気にはなれませんでした。

 窓口を訪れたのは6月中旬で支払いは7月から開始、2023年内の支払いは6回あるので、個人年金の控除額の上限 (年間8万円の支払いで所得税から4万円、住民税から2.8万円控除) を満たすには、毎月1.5万円弱の積み立てが必要となります。いつかは戻ってくるものですし、キリがいい所と言うことで積立額は2万円に設定しました (一時的な停止や減額は可能、減額後の増額は不可…だったはず)。

歯科で保険外 & 医療費控除対象の治療を受ける

 これは私自身ではなく私の家族の話ですが、結果的にこの年は歯医者に行って、色々な治療を行っていました。歯科では色々な治療を行いますが、保険対象内の治療とそうでないものとがあります。そして、保険対象外治療の中でも、医療費控除の対象となる治療の基準を国税庁が明示しています。

歯の治療については、保険のきかないいわゆる自由診療によるものや、高価な材料を使用する場合などがあり治療代がかなり高額になることがあります。このような場合、一般的に支出される水準を著しく超えると認められる特殊なものは医療費控除の対象になりません。現在、金やポーセレンは歯の治療材料として一般的に使用されているといえますから、これらを使った治療の対価は、医療費控除の対象になります。

No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例

 ここに例示されている “ポーセレン” は、いわゆるセラミックのことです。なお、治療材料としてもっとも安価なのは昔からある銀やプラスチックで、これは保険対象内の治療となります。もちろん金がもっとも高価で、一本で10万円を超えることがあるそうです。なんとなく贅沢なイメージがありますが、金は酸に反応せず (王水でのみ溶ける) 柔らかくて徐々に形を変えるので、純粋に口腔内で利用する素材としてもっとも優れているそうです。

 家族が12月に歯の治療を行うにあたり、費用は考えずに自分が望む治療をしてもらうことにしました。歯は生きている限り使い続けるものなので、医療費控除云々とは無関係に、保険外であってもいい治療をしてもらうべきだと思っています。年内であれば、保険外の治療を医療費控除として計上することで高校無償化の要件を満たせる公算が高く、その場合金銭的にプラスにさえなることもあり、迷いはありませんでした。一時的に相当額の支払いは発生しましたが、長い目で考えれば正しい判断だったと思っています。

本人が扶養控除対象になった

 これは努力の結果ではないのですが、高校無償化の対象となる本人が2023年に16歳になったことも大きな意味を持ちました。所得税・住民税の計算を行う上で、被扶養者が15歳か16歳かで大きな違いがあります。16歳以上の被扶養者がいる場合、所得税で38万円、住民税で33万円の控除を受けることができます。

確定申告の結果

 最大限の対策をして新年を迎え、源泉徴収票を受け取って確定申告を行いました。結果、額面上の収入は昨年度を上回ったものの、個人年金と医療費の控除が効いて、東京都が示している基準 (区市町村民税課税標準額 × 6% – 区市町村民税調整控除相当額が、304,200円未満) を満たすことができる見込みとなりました。ちなみに、令和5年度の基準額 (令和4年の源泉徴収票等を利用して自分で計算した数値) は 297,660円 で、令和4年度の 304,020円 を6,460円下回る結果となりました。

 現在長女は高校1年生で、2023年4月に高校2年生になります。高校無償化の適用はあと2年ということになりますが、高校無償化の適用期間が終わった後でも、正当な手段で納税額を抑えるための様々なテクニックは活用可能です。サラリーマンの場合、年末調整の外側で発生する控除は自ら申請しない限りその恩恵に預かれないので、 今後も活用可能な制度には目を光らせていきたいと思っています。

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